COFFEE-10

第10回:ネーミングに関するお話、その2[賀正ビールは無くなった」   K

 

平成13年もまもなく終わろうとしていますが、21世紀の始まりにしては暗い出来事
ばかりが目立った年でした。

それでも、皇太子様、雅子様との間に新宮様の誕生は、ほんとうに明るい希望の持
てるニュースでした。そゎ名前が「啓宮愛子」様と命名された事は、全国の「愛子さん」
にとってこの上のくうれしい事でしょう。

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私の子供も女の述が生れたら命名したい名桧の一つとして考えたことのある名前でし
た・、残念な事に努力して3人の子供に恵まれましたが、全員男の子であっ「スのでつい
にその夢は果たせませんでした。今更4人目は年齢的にも体力的にも無理ですが。

私事はさておき、名前を付けることが、その子の将来に如何に大事な事になるのかは、
ことさら申し上げる必要も無いでしょう。

この「休憩室」の第3回目に、包装機のネーミングがかなりいいかげんに付けられてい
る話を書いたわけですが、今回はもっと重要且つ大変な意味を持つネーミングについて
書いて見ます。今回は、かなりまじめな内容です。

・毎年この時期になると思い出す事と言えば、正月に販売される「福袋」のデザインです。
 私の仕事が包装ですので当然たくさんの包装資材や手提げ袋を製造販売します。20年
以上前のことですが、当時はベビーブームの世代が成人する時期です。結婚式場などの
「引き出物」用の手提げ袋などは大変大きな商材でした。

そんな折、ある神社から新年用の「福袋」の注文を受けました。表のデザインも決まり、一言
インパクトのある「言葉」を加える事にして、いろいろ考えた末に「新年の幸運をこの福袋で」
と印刷しました。これは決して問題のある表現ではなかったのですが、神社にとっては、
正月だけが福袋の販売?では有りません。
正月が済めば、節分も有ります。年に何回も「**大祭」と言うのも有ります。ところが、「新年
の云々」と印刷すればもう残りは使えません。印刷の仕方が如何に大きな問題化はこの時気づ
いて置けば良かったのですが、同じような間違いはその後も続きました。

新年の正月元旦に配られる新聞の厚さとくれば3cmも5cmもある分厚い新聞になっている事に
お気づきでしょう。そうですあの「正月用袋」も私共が手がけたメイン商品で現在でも相当な数量を
販売しております。これも福袋同様に、発売当初は、新年のお祝いを考え「賀正」とか「謹賀新年」
などと大きく印刷して販売しましたが、正月元旦が雨であれば殆どさばけてしまうものに対して晴
れた元旦であると、消費量は半分以下になります。そうするともうこの袋は1年間お蔵入りする事に
なってしまうわけです。そんなこんなで、このネーミングに問題が有る事に気づくまで5年近くかかっ
た自分の愚かさに泣けてきます。

その後、印刷内容を、新聞社のロゴに変更したり、新聞週間の「標語」などを印刷し、正月でも通常
時の時でも利用できる内容に変更した事により年間を通じて「週刊誌」や「特集記事」などで新聞が
分厚くなる時にご利用できる事となりました。最近では、同じ袋を贈答品などを入れる袋としても使用
出来る内容に改良しご利用いただいております。

そう言えば、この前何かのパーティーに出席した時のビールのラベルも、涙ぐましい改良が施されて
いました。
この休憩室の話は、事あるごとにビールの話題が登場しますが、今回もまたまた登場です。
さっそく‖第1回で書いた元ラベル会社に勤務していた先輩に電話してラベルの薀蓄を聞きました。
福袋や正月用ば新聞袋同様にビールラベルの印刷内容特にネーミングには、すごい歴史が有る
のだそうです。

ビールもメーカーオリジナルデザインが一巡した後には、個性派・狙う数々のラベルが出回っている
ホ魔ヘ、周知の事実ですが、新年呻にョg用するビールにチA鶴や寿のデザインに加えて「賀正」の文字が
印刷されたラベルがかって有りました。ところがこれだと12月の忘年会には場違いのイメージですし
いくら1月といっても1月20日を過ぎてからは使用できない。これでは生産する方も使う方も大変です。
多く仕入れすぎても問題ですし少なくても困ります。ホテルなどで多くの会場で同時に始まる新年会の
ビールに普通のラベルを貼った会場と賀正ビールの会場が有るのも問題です。
そこで、ホテル側は、最初の乾杯の時だけは賀正ビールを用いて、追加のビールには普通のラベルを
貼った物を用いるなどの苦労をしていたと聞きます。そうすると1月中旬に行われる新年会で賀正ビール
ばかりが出てくれば、このホテルは、あまり流行っていないのでは、といらぬ勘繰りまでされてしまう羽目
なるのだそうで、その後に「賀正」をやめて、「賀春」と銘打ったラベルが登場しました。(「賀春」と表記し
たビールは、現在も有るようですが、)
しかし「賀春」と印刷してもせいぜい2月末が利用できる限度でしょう。いくら賞味期限が5月、6月迄有る
と言っても3月以降は使い難いでしょうし、早々と忘年会に出すにも抵抗があります。

そこで、考えられたラベルのネーミングが「慶祝」とか「奉祝」と表示したラベルの登場です。先日私が見た
ラベルがこの「慶祝ビール」だったのです。焼き鳥屋程度しか知らない私にとってすごく新鮮な感じを受けま
したが、結構前から有ったそうです。
この「慶祝ビール」であれば、新年会はもとより忘年会であっても、企業の祝賀パーティーでも結婚式でも、
年間を通じて「お祝い事」なら何時だって使用できるのですから。これはスゴイ、感服します。

缶ビール全盛の時代です。瓶ビールは、呑み屋さんか、ホテルのパーティーくらいしか見ない時代です。そ
れもジョッキーを使った「生ビール」が増えている時代です。この「慶祝ビール」きっと増えてゆく事でしょう。
もしかすると、瓶ビールの半分近くが「慶祝ビール」になる時代がくるかもしれません。

ビールに付いて言えば「慶祝ビール」も近い将来ありきたりになって新鮮さを失う時が来る出でしょう。
次のネーミングを準備しないと行けない時期にまもなくなります。包装屋さんに加え一流のデザイナー
さん次の「コピー」を考えないと時代に遅れますヨ。

「名前」が如何に大切なものであるか、その名前次第で、製品寿命が延びたり縮んだりする本当に重要な
ものだとつくづく思います。

 

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