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第1回:ビール瓶のラベルは、なぜ丸い

最近でこそ缶ビール全盛の時代で「瓶ビール」は、呑み屋でも行かないと少なくなりました。
その瓶に貼られているラベルには、卵型の楕円のラベルが多い事に気付きませんか?
それには、包装業界発展の歴史にまつわる深い理由があるのです。「昭和初期のビールや、
酒瓶それに現在でも四角のラベルだって有るだろう」そんなご意見ごもっともです。
その理由も含めて後で説明します。まずはお読みください。


飲み屋でも生ビールのジョッキィ−で呑むことが多いのですが、宴会ともなればやはり瓶ビールが
良いでしょう。ところで、このビールのラベルに関しては包装業界とりわけシールラベルの関係業者の
方にとっては、注目すべき内容でしょう。その前にビール瓶の事に関したウンチクを少し書きます。
但し酔ったついでに聞いた話ですのでどの程度の真実性が有るかどうか確認しては、いません。

昔は、麒麟ビールの瓶にサッポロビールのラベルが貼ってあったり、サントリーにアサヒが
貼ってあったりと、それなりにラベルの存在意義が充分に理解できましたが、今日微妙に形状の
異なる各社の瓶に異なる会社のラベルが貼られているなどと言うことはめったに無いと言うより、
ビール好きの私が飲み屋に行くたびに確認する限り見たことがありません。
リサイクルの優等生であるこの業界のリサイクルシステムの素晴らしさに頭が下がります。

最も、最近はビール瓶の肩付近に出てくる白い擦り模様を少なくなっていますので、プラスチックコン
テナ会社の性能の良さに感服しましたが、聞くところによると回収された瓶の選別と各社の振り分けは、
回収業者の段階以外で、ほとんど行われずに溶かしてしまって新しい瓶に再生される事が多い
と聞きましたので、異なる会社の瓶にラベルが貼っているのを見ない理由が納得できます。

昭和40年代前半までは、木枠のビール箱がかなり有りました。その為瓶の肩部分には、ほとんど白い
擦り模様が有ったものです。しかも前述のとおり瓶とラベルは必ずしも同じではなかったのです。
その為、馬巻(バカンと言っていましたが漢字の方は?)と呼ばれるワラで出来たものが傷防止のために
かぶせてある輸送用の緩衝材が用いられていたのです。今では芸術品のお土産であってもおかしく無い
ようなこのバカン販売業者こそが物流関連包装資材の最先端椎有ったのでしょう。

さてここからが本題です。ビール瓶のラベルは、当時としてほ、瓶の利用とリサイクルを目指した最高の
商材であったわけですが、コカコーラやキリンレモンの瓶で解るとおり(と言っても最近瓶のコーラなど遣
ませんが)ラベルを貼らない瓶の進出によりビール瓶のラベルの運命はほとんど終わりに近かったので
私が20代バリバリの営業マン?時代に、先輩に連れられて銀座と築地に呑みに行った事があります。
この時に一緒だったシールルベルの販売会社のラベル担当者のグチが現在のビール瓶に貼られるラベ
ルの「不滅神話」
のはじまりなのです。

さすがに銀座です。呑み屋さんも一流でしょうが、値段も一流(最も大蔵省は、先輩ですから私はもっぱ
ら呑み手専門でした)出てきたビールが丸の内を本拠にする会社の多い地区で麒麟ビールそれも中瓶
ときました。するとラベル会社の営業マンいわく、「キリンは駄目だ他の会社のものを出せと言うのです」
当時とすれば、ビールは、麒麟しか呑まない。有名な「銀座ライオン」に行って麒麟を出せと言う人はい
いても、麒麟以外を出せと言う人は、ビール会社関係者以外はいなかったのでしょう。最も今は、スーパ
ドライしか呑まない人は、私の近くに居ますが、「麒麟以外ならどこでも良い」と言うこの営業マンの一言
に店の人が「申し訳ありません麒麟以外は置いていません」の言葉にこの営業マンの一言でこの店を出
て築地の卸市場の近くにある、居酒屋に行くことになったのです。

なぜ麒麟ビールが駄目だったのか、本人曰く「麒麟ビールが嫌いなわけじゃない。麒麟ビールの中瓶が
駄目なんだ」
との事でした。私はまた料金大瓶、出てきたのが中瓶のことかと思って聞いていたのですが、
そんな安っぽい話ではなく、当時急激に進歩したガラス瓶の曲面印刷技術が、ビール瓶の回収システム
構築と共にコーラなど炭酸飲料瓶のラベル無し瓶が、ビール瓶にも波及しその第一号が麒麟ビールの中
瓶で有ったわけです。この営業マンに取っては、右肩上がりで成長する日本の高度成長時代にあって、ラ
ベルの売上もビールの需要に合わせてうなぎ登りに上昇するはずの商材が根底から崩れ去る前兆現象
になっていたのでした。

さすがに居酒屋です。麒麟の大瓶で出てきたビールをこの営業マンおいしく呑みながらこんな事をぼやい
たのです「今から酒は、毎日でも呑める時代が来るそんな時、俺のやっているラベルの商売は、ビールで
安泰のはずだったんだ、ガラス瓶の曲面印刷技術が俺の売上に致命的な打撃なんだよ」そんな話で酒が亙み
追加追加と3人で5〜6本空けた頃に、ビール瓶のラベルがすっかり剥がれ落ちてしまった
瓶が出されてきました。「これなんだよ、こうゆうやつが出るからビール瓶もラベルが無くなるんだよな」
そう言ったのでした。確かにあの頃は、大量にビールが売れる店は、冷蔵庫では間に合わず、氷水に漬け
ビールを冷やしていた店はそんなに珍しい事ではなかったのです。先輩がその営業マンに「水で剥げない
糊を使ったラベルを作れば良いだろう」と言うと「水で剥げないラベルは出来るが、それでは回収された瓶
のラベル剥がしに時間を取って生産効率が悪くなる」そんな答えでした。「だったら水では、剥げないがお湯
なら簡単に剥げるラベル
を作れば良いだろう。それがお前の商売だろう」そんな話でその日は終わりました。

数ヵ月後の話です。今では、会社などの倉庫に転用されている国鉄時代の貨車「ワム」(当事国鉄の車両は、
  どういう意味か知りませんが、「トラ、トキ、ワム」などの名称が付けられていました。今でもそうかもしれ
  ませんが)ビールの輸送には、非常に多く利用されていました。トラック輸送が主力の今日と異なり、瓶の
  傷防止には、まだまだ道路が路面舗装されていなかった時代です。貨車の輸送が最も安全かつ確実な
  輸送手段で有ったわけです。ところ瓶詰めの生ビールがお目見えし、事態が変わります。国鉄の貨
  車「ワム」で運ばれた生ビールの味の異変が大きな問題となりビール会社のビール輸送は対策が急務に
  なり、前述のような、バカンを使わずに傷防止の出来るプラスチックコンテナの普及が急結に進み輸送手
  段がバラックに取って代わるきっかけになったと事です。ところが従来の貨車輸送を直ぐに切り替えることの
  出来ない地区への髪送業務は、依然としてこの「ワム」に頼らざるを得なかったのです。そこでいよいよ
 ベル
の話の具体的な内容に入ります。

#

*前述のラベル会社のスタッフは、既に冷水であればどんなに水に漬けていても剥がれないが、温水であれ
  ば、いとも簡単に剥げるラベル「サーモラベル」(どこかの会社の商品名かもしれませんが、当事から温度
  により溶着でき、ホットメルト式のラベルをそう呼んでましたのでそのまま書きます。)は、この生ビール
  の瓶詰め出荷の出現により一躍脚光を浴びることになりました。国鉄時代の貨車「ワム」は、全面鉄の箱
  状態ですから、夏場には、車内は90度近い温度になることもあり、通常でも40度以上の温度にさらされ
  る事は、当たえ前でした。完全密封状態を保つことは、埃や風の侵入が無い分ビール瓶の表面の美しさ
  は保たれるものの生ビールは非加熱であるが故に貨車内で煮えたビールはまずくて呑めたものではあり
  ません。

*そのような状況から、煮えたビールの返品交換に困った流通業者の提案でこのサーモラベルを採用して、
 品質管理に利用しようとしたことが、とんでもない効果を生みました。なぜりら「煮えたビール」が1箱発見
 されたからと言って、卸問屋の倉庫までどのような経路で運ばれてきたかどうかの判定は不可能でぴばか
 りか!ましてビンの表面に出荷ロットを姻字することは、当時としては不可能であったのです。現在であれ
 ば、インクジェットプリンターの利用でラベル無しでも在庫看理は、出来たでしょうが。とにかく1ケースから
 でも「煮えたビール」が発見されるとロットごと返品される事態が発生し、しかもこの品質検査には、王冠蓋
 抜いて呑んで見なければ表面からでは判読できないと言う難問をビールのラベルが解決することとなった
 のです。

*サーモラベルは、どんなに冷水に漬けていても剥げることは無いが、設定以上の温度に達すると簡単に
 剥げるもしくわずれてしまう特徴を最大限に利用したのです。ビールのラベルの曲面印刷技術は、生
ビールの瓶駆め字代にそぐわない技術として決定的な烙印を押したので、「納品時にゆがんだり、ずれ
 たビールは、100%返品OK」と公言しいち早く全面生ビールに切り替え一躍メジャーにのし上がった呻社
繊の秘話は、知る人とぞ知る内容だと聞きましたが、もっともこの会社は当時売上不振で瓶の曲面印刷ラベル
 の設備投資に非常に困っていたとのうわさもありますが、真偽の程は知閧ワせん。

*サーモラベルの開発によりゆがんだラベルは返品OKと言う内容は、消費者にとっては素晴らしえ事では
 有りますが、こと包装業界ほとってはとんでものない難題です。サーモラベルが出るずっと以前から丸いラ
 ベルはあました。その最大の理由は、ラベルを貼る機械、ラベラーの性能に問題があったわけです。
 ラベルを丸型の楕円にすれば人の目では少しの歪みでも違和感が無い理由による癌のです。
 物流途中に温度変化によりラベルがゆがんだ製品の返品交換は仕方が無いとして、ラベルを貼り付け
 る時点で多少ゆがむ事だってあるわけです。製品になにも問題が無いのにラベルの貼り具合だけで返
 品されてはかないません。その為の究極の裏ワザが、ラベルを卵型の丸型ラベルにする事で有ったわ
 けです。

大事なことを、申し上げておきます。生ビールの瓶詰め出荷が行われる時代には、既に定位置に正しく
  貼れる機械は、有りましたし、現在では楕円型のラベルでごまかさなければならないような機械は有りません。
  すなわち、現在の瓶のラベラ−は、
どのメーカーの製品も問題ありませんので、丸でも角看も変形でも自由
  選択できます。故に四角のラベルもあります。ただ、丸ラベルの歴史が現在も引き継がれそれが消費者の
  印象に残って製品のイラージを向上させている事も重要でしょう。ついでに申し上げると素晴らしい曲面印
  刷を施した中瓶にも直ぐ直後から首の部擡に品質保証ラベルが貼られ、現在では中瓶テ熨Sてラベルになり
  製造ロット賞味期限表示に成っていることに気づかれる竿思います。

*酒の1升瓶などは、ズート昔から角ラベルであった事実は、昔は手作り、手貼りが原則でしたから問題なか
  ったのでしょう。現在の機械では、丸より角のラベルの方が貼りやすいです。

*ただ包装業界にとって、ビールのラベルが永遠不滅のもので有るとは決して言えない現実がもうすぐそこまで
  来ています。ラベル屋さん頑張ってください。機械も頑張ります。

*更に一つ、韓国に行った時私は良く屋台でビールや焼酎を呑みますが、向こうは未だ水で剥げ落ちるラベル
  全盛です呈、日本との貿易障壁全廃栂時代です。営業に行「チて見ては如何ですか?ご連絡頂ければ私が営
  業しても良いかなと考えています。

*以前ο、ビールのラベルに「呑み Vール」なる温度変化に対応して色の変わるラベルや字が浮き出てくる
  ラベルを見ましたが、最近見ません、コストの問題でしょえか?付いているともっと旨いビールが呑めるのょすが・
  どこるのビール屋さん売り出してくださが。点数シールでサーバーを当て損ねた私にはうれしいのですがあなた
  はどう思いますが。

 

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   津曲輝行(ツマガリテルユキ)